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 食事と甲状腺、      

甲状腺の病気は、まれな珍しい病気かというと決してそういうことはありません。

ある調査では、13%、実に8人に1人というとても高い頻度で甲状腺の血液検査に異常が発見されるといわれています。十数人に1人という調査もありますが、いずれにしても、健康と思われる方々を検査をしてみて、甲状腺の異常な結果が出る方が沢山おられるのは間違いありません。しかし、これらの検査の異常が、たちまち治療を必要とするわけではないので、心配はいりません。いわば、甲状腺に病気が起こるかも知れないと言う体質が、血液検査で陽性反応を示しているのです。しかし、こういった体質を持った方が、極端に偏った食事などをしつづけたばあいは、本当の病気に変わってくることがありますので、甲状腺の病気は決して珍しいというわけには行きません。

海草についてのご質問をよく尋ねられます。「甲状腺の病気にならないために海草を沢山食べた方がよいといわれました」とか、「甲状腺の病気にかかってから頑張って沢山の海草を食べていますが、どのくらい食べたら良いですか」とか。色々な質問を受けることがあります。このように甲状腺が海草ととても関係が深いことは、多くの方々が知っておられると思います。そこで、日常の食品と甲状腺の関係をお話ししましょう。

 

実際、我が国は、四方を海に囲まれた島国であり、豊富な海の幸に恵まれた環境にあると思います。最近の健康管理についての関心が高くなってきたなかで、海草についても、多くの良いことが、テレビや雑誌で目にすることが多くなってきたと思います。海草は、髪の毛によいということをはじめ、尿酸というものが蓄積して生じる痛風という病気の予防になるとか、がんや高血圧、動脈硬化の予防になるとか、色々と体に良いことが言われているようです。海草には、ヨードを始め多くのミネラル、線維素等を豊富に含んでいます。ただ、これらの物質全てがどのように作用しあって甲状腺に働きかけるかと言うことについては、その全てが分かっているというわけではありません。

これらの成分の内で、甲状腺に特に大きな影響を及ぼすのは、なんと言っても、ヨードです。
そこで、ヨードと甲状腺のお話をさせていただきます。

われわれの住む地球上にはヨードを多く食べている地域や少なく食べている地域があることが分かっています。それらの地域で調べられた結果、いろいろなことが分かってきました。ヨード摂取が欠乏した地域(中国大陸の奥地やヨーロッパの山間の地域など)では、甲状腺が腫れて首が太くなったり、時には甲状腺に腫瘍が出来たりする事が多いと分かっています。また、それらの腫瘍に沢山の甲状腺ホルモンを作るような腫瘍が通常の地域の2倍も多いという報告もあります。また、反対に甲状腺ホルモンが欠乏する病気の発生も増えることが言われています。子供の発育に障害が出てくることもあります。

このようなヨードの欠乏地域では、近年になって、飲み水や食塩に、わざわざヨードを添加物として加えるようになり、それからは、これらの病気が、劇的に減りました。このことから分かりますように、われわれにとって、ヨードは必要不可欠な成分なのです。

しかし、ヨードをとても沢山食べた場合にも問題があります。昔、北海道の一部の地域では、米の代わりとして、昆布を主食にしていたところがありました。その当時、これらの地域では、甲状腺が腫れたり、ホルモンが、多すぎたり、少なすぎたりすることがおこっていました。このように、ヨードは必要不可欠なものですが、多すぎることもまた、いけません。 適当量がよいということです。

「海草を沢山食べていれば、甲状腺の病気の予防になる」という話は、間違いです。

さて、これから、食べ物の中に含まれるヨードの量をお示ししましょう。

一言で言うと、陸上で採れる食品には、ヨードは少なく、海から得られる食品は、多くのヨードを含むと言うことです。果物、野菜などは、ほとんど、ヨードが含まれていません。みそ、醤油等の加工品、肉類についても、ほとんどわずかな量のヨードしか含まれていません。ですから、これらの食品だけでは、ヨードが不足した体になってしまうかも知れません。しかし、私たち日本人は、いろいろな形で多くの海産物を食べていますので、ヨードは過剰に体に入っています。私たちはヨード過剰症というのが、実状です。

ヨードを豊富に含むと言われているヨード卵については、さすがに、普通の卵に比べて多くのヨードを含んでいます。しかし、1日に、10個とか20個とかいうような沢山の卵を食べられる方はおられないでしょうから、食べ過ぎない限り、ヨード過剰量にはならないでしょう。一方、海で捕れる魚には、牛肉や豚肉などに比べて多くのヨードが含まれてますが、体にとって問題となるような大量のヨードは含んでいません。

海草には、極端に多くのヨードが含まれています特に昆布においては、昆布1gあたり1500μgを越える沢山のヨードが入っています。昆布のだし汁も同じことです。海草に偏重した食事は、ヨード過剰症を引き起こします。甲状腺に免疫異常を持つ体質の方では、体調を壊すことがしばしば、あります。

偏食無く、まんべんなく食べると言うことが、実は、大切なことなのです。毎日、毎食、海草ばかりを食べ続ける様な、偏食は好ましくないと言うことです。サプリメントに含まれているヨード量にも、ご注意下さい。
もちろん、甲状腺の病気の特別なときや、検査のためにヨード制限、海草を制限していただくときもありますが、それが、永久に続くと言うこともありません。

ヨード以外にも、沢山食べると甲状腺のホルモンができにくくなって甲状腺が腫れるような物質があります。これらは、ゴイトロゲンと呼ばれます。ただ、これらについては、特に、極端に多くの量を食べなければ、問題ありません。ただ、最近の健康ブームの中で、甲状腺に影響を及ぼすような食材を過剰に摂取する事を良いとしているものが、時に、見受けられます。

先ほど、甲状腺の血液検査をしてみると8人に1人くらいの人に異常な結果が出てくると申しました。その方々が、ヨードやゴイトロゲンを沢山含む食品を極端に大量に取りすぎると、甲状腺への影響が強く出てくることがあります。先ほど言いましたように、健康食品といわれているものの中にも含まれていることがありますので、健康食品への極端な偏重、過信については、注意を要するときがあります。最近、1日30品目の食品を取りましょうなどと言われてますが、まさに、偏食のない様々な食品を食べていただくことが、甲状腺にとっては、一番大切なことと言えます。